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ヤギ支援 : 犠牲祭をひかえて
投稿者: NINDJA 投稿日時: 2007-12-26 18:04:38 (2498 ヒット)

■ 犠牲祭をひかえて
 NINDJAのヤギ飼育村落振興プロジェクトは2006年9月ごろにはじまったので、すでに1年以上、被災地の村びとたちとヤギにかかわってきた。NINDJAからヤギを貸与された被災村民の飼育小屋は、子ヤギで満杯になりつつある。この期間、上手にヤギを育てた人のところで5〜6匹、ごくふつうの人で3〜4匹ほどの子ヤギが生まれている。
 イドゥル・アドハ(犠牲祭)に向けて、村びとといっしょに年ごろ(1歳)のオスヤギを売ることにした。この時期、1歳のオスヤギだけが犠牲祭用に取引され、それより若かったり、老いていたりするものは、オスヤギでも取引対象にならない。犠牲祭の季節に1歳のオスヤギが手元にいることは、まったくの幸運である。飼育したヤギに高値がつけば、飼育者といっしょにわたしたち支援チームもここまでがんばってきた喜びをかみしめることができるだろう。
 ンガド制(親メスヤギはNINDJAからの貸与。生まれた子ヤギは、飼育者とNINDJAとのあいだで折半する契約。被災者支援プロジェクトであるため、子ヤギ1匹だけ生まれた場合や、ヤギが病死した場合に、NINDJA側が譲歩するゆるやかな契約にしてある)のもと、今年の犠牲祭で取引対象になりそうな年ごろのオスヤギは、プロジェクト実施5村で数匹いる。NINDJAの取り分のうち、少なくとも2匹は取引対象になる。

■ ヤギと瓦
 ワホノさんのところ(クラテン県ウェディ郡ガタック集落)には、NINDJA取り分の年ごろのオスヤギがいる。わたしたちNINDJA支援チームの合意のうえ、ワホノさんはこれを市場売買取引にかけることにした。犠牲祭を前に、ウェディ郡に隣接するプランバナン郡やバヤット郡の家畜市場では、さかんに年頃のオスヤギの取引がおこなわれている。各集落にブランティック(家畜取引のブローカー)が入ってきて、どこかに市場で高値のつきそうなヤギはいないか物色している。ワホノさんが飼育するヤギは80万ルピア(約1万1000円)というなかなかの値で、ブランティックの眼鏡にかなった。
 NINDJA取り分とはいえ、1年間ワホノさんにヤギを育ててもらった労賃は無視できない。ヤギを売って獲得する80万ルピアは、ワホノさん:NINDJAが1:2程度で分けるのが適当であろうと、わたしたちは見積もっていた。
 ところが、ブランティックにオスヤギを売り渡した段階で、ワホノさんから、わたしたちに思いがけない提案が持ち出された。今回取引したオスヤギは、ワホノさんの取り分だったことにしてくれという。彼は、いますぐにこのヤギ収入80万ルピアのすべてを手にしたくてたまらない。彼の飼育小屋に残っているまだ小さなオスヤギも、これから生まれてくる赤ちゃんヤギも、次回80万ルピア相当分をNINDJAに引き渡すから、今回はNINDJAが折れてくれと懇願する。ワホノさんは住宅再建のためにすでに瓦を購入していて、ブランティックから支払われた80万ルピアをその支払いにあてたい。再建途中の彼の家の前に、瓦はうず高く積み上げられている。
 わたしたちは、正直迷った。プロジェクトを運営する上で、ひとつでも特例をみとめれば、ほかの契約も契約として立ち行かなくなり、プロジェクト自体が崩壊しかねない。しかし、ヤギプロジェクトが「持続可能(sustainable)」であるために、今回わたしたちが「稼ぐ」はずのオスヤギ収入53万ルピア(約7000円。ヤギ販売価格の3分の2)を銀行のNINDJA口座に積み立てておくことは、ワホノさんが瓦を買えることより重要だろうか。
 わたしたちがクラテン県の村むらに通うのは、地震被災者のためになにかしたい気持ちにほかならない。ワホノさんがメッカ巡礼のために「NINDJAヤギ基金」を融資してくれという場合と、地震で失った家を再建したいから融資してくれという場合、わたしたちの対応は違っていいように思えた。政府からの住宅再建支援が1500万ルピア(注)にすぎない現状で、今回ワホノさんが突然手にすることのできた80万ルピアにはかなりの価値がある。

■ 被災者支援の難しさ
 わたしたちが「しぶしぶ」申し出を飲んだことは、もちろんワホノさんを喜ばせた。飼育小屋の子ヤギとこれから生まれてくる赤ちゃんヤギを担保に、53万ルピアを先延ばしにしたことによって、ワホノさんがいちばん必要なときにいちばん必要なものを与えてあげられた、とびっきりの嬉しさを感じながら、同時にわたしたちは心のどこかにすっきりしないものを抱え込んでしまった。わたしたちのおカネではないにもかかわらず、わたしたちの一存で53万ルピアを先延ばししてよかったのか振り返ると、どうも気が晴れない。
 被災者支援プロジェクトを切り盛りしていく難しさを、わたしは日々感じている。誰をどんなかたちで救済すればよいのか、プロジェクトとして割り切ることが、まだできない。割り切っていく英断こそが求められているのかもしれないが、いまのわたしにそれができない。今回特例を認めたために、明日また別の特例措置を要求する村びとに対処しなくてはならない可能性もある。
 すでにみなさんから預かっている残りの資金を、被災地のどこかで新しいヤギ飼育者に割り振り、それをプロジェクトとして軌道に乗せていくとともに、これまで村びとに貸与したヤギから生まれたNINDJA取り分のヤギを管理し、さらに関係村の被災者たちとコミュニケーションをとっていくには、まだ多くの時間がかかりそうである。みなさんの理解と協力をいただけるなら、末永くジャワ島中部地震の被災者とヤギにかかわっていきたい。

注:このような全壊家屋に対して、政府の住宅再建支援は一律1500万ルピア(20万円)。これだけで、被災前に建っていた規模・品質の住宅を再建するのはほとんど不可能である。にもかかわらず、政府は、同支援をもって耐震住宅を建設する義務まで被災者に課した。

(報告:間瀬朋子)

写真上から
村にヤギがやってきた
スヌンさん(左)もオスヤギを市場に
犠牲祭の風景
数カ月前に再建中だった住宅

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