マタン・スリメン集落子どもたちへの支援

投稿日時 2007-8-15 23:31:00 | トピック: 地震・津波被災者

 「特定非営利法人・アジアの子ども達を支援する会」からご支援いただき、北アチェ県サムドゥラ郡クタ・クルン村マタン・スリメン集落の子どもたちに、遊び場所をつくる支援をおこないました。

■ 津波と差別の二重苦を超えて
 サムドゥラ郡クタ・クルン村マタン・スリメン集落は、ロスマウェ市街地からバイクで小1時間ほどの場所にあります。ここは、大津波により26人もの死者を出し(全人口112人)、家財道具などすべてのものが流されてしまうといった大きな被害に見舞われました。また、ハンセン病(元)患者とその家族が暮らしているという理由で、津波以前から現在にいたるまで周囲から隔離されている被差別集落です。
 集落のなかに学校はないため、小学生は養殖池をはさんだ隣の集落にある学校に通っています。しかし、そこでも「ハンセン病の村の子」として、教師やほかの子どもたちから差別やいじめを受けることがあるという話を以前から聞いていました。また、それが理由で小学校を中退してしまう子どもも少なくないようです。
 こうした状況のため、マタン・スリメン集落の子どもたちには、学校にも集落内にも自分たちの遊び場所がない状態が続いていたのです。
 このたび「特定非営利法人・アジアの子ども達を支援する会」からご支援いただき、ロスマウェのパートナー団体であるJari Acehと協力して、子どもたちがいつでも気がねなく遊べる遊具を集落内に設置しました。ブランコ、すべり台(ふつうの1人乗りのものとボックス型で向かい合わせに4人座れるもの)、うんてい、ジャングルジムといった計5種類の遊具は、子どもたち自身の意見を聞いた上で選んだものです、みなが完成を心待ちにしていました。
 8月上旬、NINDJAメンバー2名がマタン・スリメン集落を訪問しました。子どもたちが実際にどのような様子で遊んでいるのか、とくに問題は起きていないかなど、プロジェクトの状況について確認してきました。
 マタン・スリメン集落は養殖池のなかの1本のあぜ道を抜けたところにあります。わたしたちがバイクで集落の入り口を通り抜け、遊具を設置した小さなスペースに到着すると、子どもたちがどんどん集まってきました。あいさつもそこそこに、子どもたちは銘々のお気に入りの遊具に飛びついていきます。カメラを向けると最初は少し恥ずかしそうにしていた子どもたちですが、次第にこちらに向かってポーズをとるようになるほどのはしゃぎようでした。
 それだけで、子どもたちがどれほどこの場所を必要としているかを実感することができました。なぜなら、マタン・スリメン集落の多くの子どもたちは、津波に襲われた経験によって親を失い、精神的に不安定になっているからです。そうした子どもたちが満面の笑顔を見せてくれるということは、自由な遊び場を得たことで、たとえ少しずつでも精神的な苦痛から癒されつつあると考えられるのではないでしょうか。

■ どれも楽しい!でも一番人気は…
 さっそく、子どもたちに遊具についていろいろと質問をしてみました。小学校低学年の男の子からは「毎日、学校から帰って昼ごはんを食べ終わったら、すぐここに来て遊んでいるんだ」と元気な答えが返ってきました。「お昼の一番暑い時間帯には、遊具も熱くなっちゃうのが少し残念だけど、でもとにかく楽しいよ!」と満面の笑みです。また、一緒にジャングルジムにのぼっていた男の子に学校のことを聞いてみたところ、「勉強は好きだけど、いろいろな事情で何日も休んでしまったら、進級できなかったんだ」と話してくれました。それでも、「友達もいるし、(今回支援した遊具のことを指して)こういう楽しい場所もあるから大丈夫」と、前向きでした。
 また、自転車で1時間以上かけて中学校に通っているという女の子は「小学校では、(マタン・スリメン出身という理由で)いじめられたけれど、いまは学校が遠いから大丈夫。勉強もすごく楽しいので、がんばって高校まで進みたい」と、ちょっとはにかみながら答えてくれました。そんな彼女のお気に入りはすべり台だそうで、「この子はすべり台で遊びすぎて、ズボンのおしりに穴をあけちゃったんだよ!」と隣にいた友達にからかわれていました。
 最後に、子どもたちにどの遊具がお気に入りかを聞いてみたところ、一番人気はすべり台、その次はボックス型ブランコであることがわかりました。ただし、ひとつだけを選ぶのは大変、という子どもたちの意見も伝える必要がありますが。
 いままでは、木登りや近くの養殖池で釣りをすることが唯一の遊びだったそうですが、就学前の小さな子どもの面倒もみながらブランコをこいだり、すべり台をすべったり、そんな様子は集落のなかでの遊び場ならではのものでしょう。
 今後も、マタン・スリメン集落を定期的に訪問し、必要に応じて支援を検討していきたいと考えております。引き続き、みなさまのご支援・ご協力をお願いいたします。

(報告:渡辺瑛莉)


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